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アメリカ陸路入国ガイド

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アメリカ陸路入国ガイド

2014/6/16 更新

2022年10月1日以降、車・バス・電車など陸路で国境を超える場合でも ESTAの申請が必要となりました。これに伴い、陸路での入国時に記入を求められていた「I-94W」も廃止となりました。

日本国籍を所持する日本人が観光目的でアメリカへ行く場合、滞在が90日未満であればビザの申請は必要ありません。また、空路または海路で入国する場合は渡航の72時間前までに ESTAの申請が必要ですが、車・バス・電車など陸路で国境を超える場合には ESTAの申請は不要です。 ただし国境での入国手続きで「I-94W」の記入&提出および入国料金($6 USD)の支払いが必要になります。

陸路での入国の場合、ESTAの申請は通常不要ですが、ESTA有効期限内(2年)であれば「I-94W」の記入が免除されることがあります。

I-94 とは?

I94W & I94

陸路(車、バス、電車など)でアメリカ合衆国に入国する外国人の出入国記録のための用紙で、下記2種類。

  • 観光・短期商用目的の「ビザ免除プログラム」参加国市民用の「I-94W (緑色)」 日本の国籍を所持する日本人は「ビザ免除プログラム(Visa Waiver Program、略称:VWP)」の対象国となるため、これに該当する。 その他、スイス、オーストラリア、台湾、イタリア、フランス、ドイツ、韓国、スペインなど、現在 38ヶ国がビザ免除プログラムの対象国。
  • その他ビザ保持者用の「I-94 (白色)」 審査に通るとパスポートにI-94を添付され、その日から90日間であればアメリカへの滞在・再入国が有効。期間内であれば何度行き来しても、入国審査や申請料は不要。90日を過ぎた場合、又は不要なI-94は返却する必要がある。

電子(IC)パスポート

ビザ免除プログラム対象国であっても、「電子(IC)パスポート(右図)」でない場合、またはデジタル写真の記載がないパスポートの場合はビザが必要。

日本は2006年から電子パスポートの発給が始まっているため既に一般的ですが、日本人ではない人と一緒にアメリカに行く場合は特に、全員のパスポートが電子パスポートかどうかを確認しておくと安心。

入国審査での質疑応答

アメリカ・カナダ共に、入国時の質疑応答の内容は空路の場合とほぼ同じ。入国拒否される確たる理由が無い場合は、落ち着いて回答すれば問題なく通過できる。

  • どこに行くのか。用件は何か
  • 何日間滞在予定か。帰国はいつになるのか
  • 所持金はどれ位あるのか

など。

例えビザや滞在歴に法的な問題がなくとも、「(国際情勢なども鑑みた上で)母国以外での長期滞在歴・複数国への旅行」「観光ビザでのカナダ長期滞在歴・頻繁な出入り」など、疑わしき点がある場合は厳しい追及に合うこともある。自らのパスポートを見た上で追求が想定される場合は、証拠を固めて出入国することをお勧めする。ここで万が一「不法滞在」「不法就労」などが発覚した場合は入国拒否、強制送還(自費)の上、場合によっては一定期間入国禁止となる。

過去3ヶ月以内に上記手続きをしている場合(I-94Wの有効期限内)は車を降りずに通過できる。ただし同乗者が一人でも手続きをしていない場合は、全員が下車する必要がある。

ワーキングホリデービザ、観光ビザでアメリカに入国する際は、カナダ、アメリカ、メキシコ以外への航空券を持っていないと入国を拒否されることもある。日本行き航空券を持っている場合は携帯することをお勧めする。

昨今カナダの審査官の尊大な態度が度々問題となっているが、疾しい点が無い場合は、例え必要以上に高慢な態度で脅しをかけられるようなことがあっても、落ち着いて質問に答えれば問題なく通過できる。ここで激高して反論をしても分が悪くなるだけである。裁量権は審査官にあることを胸に刻もう。

車で行く場合

バンクーバーから車で約一時間走ると、カナダ/アメリカの国境に到着する。
車での国境通過のステップは下記の通り。

入国審査の流れ(行き)

アメリカの国境

  1. ゲートでいくつかの質問に答え、指示に従って駐車する

    <質問例>

    • Where do you live?
    • Where are you going?
    • What is the purpose of your visit?
    • How long are you going to stay in the U.S. for?
    • How much money are you bringing to the U.S.?
    • Are you bringing in any food?
  2. 指示に従って建物の中へ入り、国境超えの手続きを受ける
    車を停める際、鍵はそのままでドアのロックはしないように。また、建物内での携帯電話使用は禁止なので要注意。
  3. 審査官との質疑応答
  4. I-94W の記入 & 両手の指紋 & 顔写真の撮影
  5. 入国審査手数料($6)を支払う
    現金(USドル)、またはクレジットカードでの支払いが可能。
  6. 車に戻り、アメリカ入国

過去3ヶ月以内に同じ手続きをしている場合(I-94Wの有効期限内)は上記手続きは不要だが、同乗者が一人でも該当する場合は全員が車を降りる必要がある

入国審査の流れ(帰り)

  1. ゲートでいくつかの質問に答える
    申告すべきものを申告する。場合によっては購入したレシートを渡すよう要求されたり、トランクを開けられてチェックされることも。 特に問題がないと判断されれば下車する必要はない。

    <質問例>

    • Where do you live?
    • Where did you go?
    • How long did you stay in the U.S.?
    • How much value are you bringing back to Canada?
    • Do you have any weapons?
    • Did you buy any alcohol, cigarette?

バスで行く場合

バンクーバーのすぐ隣、ワシントン州シアトル行きのバスは下記の4つ。

FlixBus

旧 Greyhound。2021年に「Flixmobility」が買収し「FlixBus」として同ルートを提供。Greyhound.com のWebサイトは稼働しており、どちらからも予約が可能。 バンクーバー、シアトル間の運賃はこの中では比較的高めだが、朝から夕方まで運行数は最も多いため、予約が取りやすい。

Quick Shuttle

Quick Coach Lines Ltdが運営するワシントン州行きのバス。出発地、到着地が複数あり、乗車距離によって値段が変わる。アウトレットへ行くならSeattle Premium Outletsで、ダウンタウンへ行くならBest Western Executive Innで下車する。

Cantrail Coach Lines

片道$50 前後。Amtrak、Pacific Coach Lines、West Coast Expressと提携しており、代車としても使われる。

入国審査の流れ(行き)

Bolt Bus

  1. 車内で渡される「I-94W」と「税関申告書」を記入
  2. バス下車
    国境で運転手の誘導に従い、手荷物・受託荷物全てを持ってバスを降りる。
  3. 必要書類の提出 & 質疑応答
    パスポート、I-94W、税関申告書を提示し、審査官との質疑応答。
  4. 両手の指紋 & 顔写真の撮影
    パスポートにI-94Wを添付される。
  5. 入国審査手数料($6)を支払う
    現金(USドル)、またはクレジットカードでの支払いが可能。
  6. バスに戻る

入国審査の流れ(帰り)

  1. 車内で渡される「税関申告書」を記入
  2. バス下車
    運転手の誘導に従い、手荷物・受託荷物全てを持ってバスを降りる。
  3. 必要書類の提出 & 質疑応答
    「パスポート」「税関申告書」を提示して審査官との質疑応答。問題があると見做されると別室にて再度質疑応答。
  4. バスに戻る

列車で行く場合

Amtrak Cascades

バンクーバーを含むアメリカ国内の都市を結ぶ鉄道会社と言えば「Amtrak(アムトラック)」が一般的。

「Amtrak」は各都市を結ぶ路線(ルート)ごとに名前が付いていて、バンクーバーとオレゴン州のユージーン(市)を結ぶ路線(シアトルやポートランドを含む)は「Amtrak Cascades」と呼ばれる。

「Amtrak Cascades」は“タルゴ車両”のヨーロッパ風特急列車。バンクーバーからシアトルまでは約4時間。海外沿いを走るため、バスとは違う風光明媚な景観を楽しめる。列車には、軽食を提供するビストロカー、食堂となるラウンジカーもある。

バンクーバー発の列車は毎日運行しているが1日2本のみで、その他の時間を補うように連絡バスも走っている。

Amtrak Cascades の「バンクーバー ~ シアトル間」
発 着 Pacific Central Station(Vancouver) → King Street Station(Seattle)
時 間 約4時間
金 額 グレードによって金額が異なる

Amtrak Cascades トレイン

  • Saver($32)
    キャンセルによる返金なし
  • Value($42)
    指定期間内のキャンセルは全額返金
  • Flexible($75)
    キャンセル可能(全額返金)
  • Business($65)
    キャンセル可能(全額返金) & ビジネスクラス・シート

Amtrak 連絡バス

  • Value($42)
    指定期間内のキャンセルは全額返金
  • Flexible($75)
    キャンセル可能(全額返金)
座 席
  • Coach Class
  • Business Class
Business Class の方が広く快適で、出発前に並ぶ必要がない。 帰便も Business Class から下車し、入国審査を行う。 $20程しか違いがないため、早めに満席になる。

荷物:手荷物・受託荷物共に23キロまで。出発30分前までに預けなければならない。

Amtrak 北西部エリアの路線(バンクーバー、シアトル、ポートランド含む)
  • Amtrak Cascades
    Vancouver(BC州) - Seattle(ワシントン州) - Tacoma(ワシントン州) - Portland(オレゴン州) - Salem(オレゴン州) - Eugene(オレゴン州)
  • Coast Starlight
    Seattle(ワシントン州) - Portland(オレゴン州) - Los Angeles(カリフォルニア州)
  • Empire Builder
    Chicago(イリノイ州) - St. Paul/Minneapolis(ミネソタ州) - Milwaukee(ウィスコンシン州) - Spokane(ワシントン州) - Portland(オレゴン州) or Seattle(ワシントン州)
  • 予約時、列車の場合は「Amtrak Cascades」、バスの場合は「Bus」の記述があるので見間違わないように注意しよう
  • 予約は出発日の11ヶ月前から受付
  • 出発1時間前は駅に到着していることを推奨している。 特に Coach Class の場合は出発前にかなり並ぶこともある
  • 列車は遅れることが多いため、旅の予定は余裕を持って組むと良い

入国審査の流れ(行き)

Pacific Central Station

始発駅である Pacific Central Station でアメリカの入国審査を受けることとなる。

  1. 駅構内、入り口正面にある机で「税関申告書」を記入
  2. 改札通過
    「切符」「パスポート」「税関申告書」を駅係員に渡す。「I-94W」を渡されるため、その場で記入。
  3. 号車と座席番号が書かれた紙を渡される
  4. 駅構内で入国審査
    「パスポート」「I-94W」「税関申告書」を審査官に提示し質疑応答。
  5. 両手の指紋 & 顔写真の撮影
    パスポートにI-94Wを添付される。
  6. 荷物検査
    荷物は預けるか、車内に持ち込む。
  7. 乗車
  8. 国境到着
    国境に到着すると列車内にアメリカの審査官が乗り込み、乗客のパスポートをチェックし、税関申告書を回収する。国境数分前に「座席に戻りパスポートを用意して下さい」とのアナウンスが流れるため、座席を離れている場合は席に戻ること。
  9. King Street Station に到着、下車

入国審査の流れ(行き)

  1. 改札通過
    「切符」「パスポート」を駅係員に渡す。
  2. 号車と座席番号が書かれた紙を渡される
  3. 乗車
  4. 車内で渡される税関申告書を記入
  5. Pacific Central Station 到着
    1等から順に下車。プラットホームで待機となるため、気温に注意。
  6. 「パスポート」「税関申告書」を提示し、審査官と質疑応答
    問題があると見做されると別室にて再度質疑応答。

税関申告

全ての旅行者はカナダ入国の際に「税関申告書」を記入し、Canada Border Services Agency へ申告せねばならない。申告に虚偽が認められた場合は、没収、罰金、時には刑事訴追されることもあるため注意が必要。 ただし車の場合は国境で審査官に口頭でいくつかの質問をされ、特に問題がないと判断されれば「税関申告書」の記入をせずに国境を通過できる。

外貨申告

CAN$10,000以上の現金、小切手、トラベラーズチェック等の有価証券を持ち込む場合は入国時に申告する。

免 税

カナダ居住者(ワーホリ、留学、観光含む)が旅行などで出国し国外で購入した物をカナダに持ち込む場合、購入した商品の値段に応じた関税を支払う必要があるが、国外での滞在期間によって一定の額までは免税される。免税額は滞在期間によって異なり、長く滞在すればするほど免税される額も大きくなる。

一品あたり $60カナダドル以下の贈答品(ギフト)は免税扱いとなる(アルコール/タバコ類は贈答品とみなされない)。

カナダ出国 ~ 再入国の時間別免税額
24時間以内
  • 免税無し
  • 酒、タバコも免税対象外
24時間以上 48時間未満
  • $200 以内
  • 酒、タバコは免税対象外
48時間以上 7日未満
  • $800 以内
  • 免税額に酒、タバコを含める(下記表の免税範囲内)
7日以上
  • $800 以内
  • 免税額に酒、タバコを含める(下記表の免税範囲内)
  • 酒、タバコ、物品類は入国時に携行している必要はなく別送が可能
申告の金額について

上記のように定められた免税額はあるものの、課税されるかどうかは対応する審査官次第。 例えば 日帰りのショッピングの場合の免税額は“ゼロ”だが、実際は $100、$200 などと回答しても課税される事はそれほど多くない。しかし、金額や荷物が多すぎたり、嘘だと怪しまれるとレシートや商品のチェックをされ、ペナルティを支払わないとならないこともある。最悪の場合は没収となるため、駆け引きは慎重に。

カナダを出国し48時間以上経過してから再入国した場合のアルコール/タバコの免税範囲は下記の通り。日本から観光や長期滞在でカナダに来る場合の免税範囲も同じ。

アルコール/タバコの免税範囲
品物数量/価格備考
ワイン1.5 リットル左記のいずれか
ビール8.5 リットル
その他1.14 リットル
タバコ紙巻200 本左記のいずれか
葉巻50 本
刻みたばこ200 グラム

禁止品/規制品

ポルノ雑誌/ビデオ、麻薬、銃器などは言うまでもなく禁止。物によってはその場で拘束・逮捕されるので要注意。

多くの肉類/肉製品、乳製品、果物、野菜、ナッツ類、蜂蜜、卵、植物などの農産物は持ち込みが禁止/制限されている。 一部、制限付きで持ち込み可能な物含め、全ての農産物は入国時に税関職員に申告が必要。禁止物の持ち込みや申告漏れによる罰金、または検査による長時間の拘束もあり得るため農産物の持ち込みは控えた方が確実。