レンタカーよりも気軽に、安く利用できるカーシェアリング。以前バンクーバーには「Zipcar」「car2go」「Evo」「Modo」 の計4社のカーシェアリング・サービスがありましたが、この内「Zipcar」は2020年5月にBC州を撤退、「car2go」は 2020年2月に北米での事業撤退となり、現在バンクーバーでは、 「Evo」「Modo」 の 2社が残ってサービスを提供しています。
今回はこの2社のサービスについての特徴や違い、使い分けなどについて紹介します。まずは概要についての比較を見てみましょう。
Evo と Modo の概要比較 | Evo | Modo |
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入会金 | $35 | Modo Plus プラン:$500 (解約時に返金) |
Monthly プラン:$0 |
会費 | $2/年 | Modo Plus プラン:$1/年 |
Monthly プラン:$6/月 | レンタル形態 | 片道 | 往復 |
最小レンタル時間 | 1分 | 30分 |
最大レンタル時間 | 無制限 | 10日 |
時間単位 | 分、時、日 | 15分、日 |
走行距離 | 課金なし(無制限) | 35c/km |
保険 | 込み | 込み |
ガソリン | 込み | 込み |
移動可能範囲 | カナダ国内 | カナダ国内 & アメリカ国内 |
Evo
BCAA(BC Automobile Association)により、2015年にサービス開始。呼び方は「イーボー」。使用されている車種は Toyota Prius Hybrid や Corolla Hybrid、Kia Niro(電気自動車)などで、上部に自転車やスキー・スノーボードを載せられるラックが搭載されています。
バンクーバー周辺のホームゾーン・エリアにさえ戻ってくれば、レンタル期間中はカナダ国内どこに行ってもよく、走行距離の制限がない上、ガソリン入れ放題のため、長距離ドライブの旅行においては、その特徴を発揮し大幅にコスパが高くなります。たとえば、20日かけてカナダ横断旅行をする場合、20日 x $104.99で、税金など諸経費含めても $2,400 程度と、自家用車と同等かそれ以上に安く済みます。
利用方法
スマホの専用アプリで最寄りの車を予約し、アプリで車のロック、ロック解除を行います。メンバーカードを持っている人は、カードをフロンドウインドウ横にあるリーダーにかざしてロック、ロック解除することもできます。予約は30分間有効で、その間キャンセルも可能。時間内にロック解除しない場合は自動的にキャンセルとなります。どちらも費用は一切かかりません。
返却も同様、アプリで終了することができます。返却ではなく一時的に駐車し、車をキープしたい場合は、アプリの「Pause」をタップするか、グローブボックス内にあるリモコンを使用することでドアだけロックすることができます。ただし一時駐車中でもレンタル中とみなされるため費用は加算されていきます。
料金計算は非常にシンプルで、開始~返却の時間数に応じて、分、時、日ごとのレートの中で最も安い料金が自動的に適用されるため、事前に開始時間や返却時間を指定する必要がありません。たとえば、37分以上利用した場合は時間レートに、6時間以上利用した場合は日 レートが自動で適用されます。
給油/充電
給油や充電が必要な場合は、自分のクレジットカードなどで通常通り支払い、後日カスタマーサービスにレシートを送ることで全額返金されます。
ホームゾーン
Evoは決められたホームゾーンで乗車を開始し、ホームゾーンで返却します。最終的にホームゾーンに戻ってくれば、レンタル中にホームゾーンから出ても問題ありません。バンクーバーで乗車し、ノースバンクーバーのホームゾーンで返却することもできます。
ホームゾーンには、下記の地図のとおり、バンクーバー市内の大半、ノースバンクーバーの一部、ニューウェストミンスターの一部、さらに、空港近くの「Park’N Fly パーキング」「Grouse Mountain」「Capilano大学」「BCIT」「SFU」「Metrotown」「UBC キャンパス」「Brentwood」などが含まれます。
2021年夏に、ビクトリアでのサービスが開始されましたが、バンクーバーとビクトリアのホームゾーンは別々の設定となっているため、バンクーバーで乗り始めてビクトリアで返却(逆も同様)することはできません。
駐車可能場所
ホームゾーン内の、「Evo専用駐車場」をはじめ、「有料メーターパーキング」、「居住者専用スポット」、「パーミット保持者専用 スポット 」、「2時間駐車可能スポット 」など下記のサインがある場所で駐車、または返却可能です。ただし、時間指定付きの下記サインの場所で返却し、指定時間が過ぎても次の利用者が現れなかった場合、駐車禁止によるペナルティが発生し、駐車した人に課されますのでご注意ください。
Evo Return
2022年に新たに追加されたサービスで、指定の場所で車をピックアップし、同じ場所に返却する往復レンタルです。現在、サレーのCity Centre駅とKing George駅、そしてバンクーバー島のナナイモフェリーターミナルに車が設置されていて、最大30日前から予約可能です。レンタルは最短1時間から最大30日間まで対応しており、料金は通常の料金表に基づいて計算されます。
使い道としては、たとえばバンクーバーから「Hulloフェリー」や 「BCフェリー」を使用してナナイモまで行き、Evoに乗り換えてバンクーバー島を探索するなどが可能です。
Evo Return では、新しい車両が採用されており、さらに比較的きれいな状態が保たれているため、長時間の利用でも安心して利用できる点が特徴です。
Evo の料金
レンタル料
利用時間に応じて自動的に一番安いレートが適用されます。37分以上利用した場合は時間レートに、6時間以上利用した場合は日 レートが適用されます。
その他の費用
下記の「利用料」は、毎回のレンタル料に上乗せとなります。たとえば、10分利用した場合は、$4.9 + $1.25 = $6.15(+税金)となります。
入会金(初回のみ) | $35 |
年会費(毎年) | $2 |
利用料(毎回) | $1.25 |
プロモーションコード
Evoは年間を通して、「入会金無料」や「最初の xx分無料」など新規会員向けプロモーションを行っていて、ネット上にプロモーションコードが落ちているので、入会前に一度「evo car sharing promotion code」などで検索してみることをお勧めします。
ちなみに、僕の紹介コード(下記)を使用すると、入会金無料 + $25分のクレジットが適用されますので、他に良い条件のものが見つからなければ是非使ってください。
入会金無料 + $25分のクレジット:AUPTGTHE
BCAA 会員割引
BCAA の会員は、入会金無料に加え、レンタル料金が 10% OFFとなります。BCAAは、日本のロードサービス「JAF」のような機関で、$4/月から利用できます。
良い点・悪い点
良い点
- ルールがシンプル
- 走行距離が無制限
- 台数が多く最寄りの使用可能な車が見つかりやすい
- 片道で利用できる
Modo
1997年にバンクーバーで運営開始された北米初のカーシェアリング・サービス。呼び方は「モードー」。利用者がお金を出し合い、協同で運営・利用する「生活協同組合」形態で運営されています。バンクーバーの他、ビクトリア、ナナイモ、ケロウナでサービスを提供していて、様々な種類の車種から用途に応じて利用することができます。
Evo と異なり、往復でのレンタル方式となるため、開始した同じ場所に返却する必要があります。また、開始時間と返却時間を指定するのが基本です。さらに、車両レンタル費用に加えて走行距離に応じた課金が行われる仕組みのため、事前にプランを練り、料金シミュレーションを行った上で計画的に利用する必要があります。
利用方法
スマホの専用アプリ、または公式サイトから開始時間と返却時間、場所、車両の種類などを指定して予約します。予約可能期間は最短30分、15分単位で最大10日間。1年先まで予約できます。予約した車をロック解除するには、専用のリモコンフォブをフロントウインドウ横にあるリーダーにかざします。返却の場合も同様、専用のリモコンフォブを使ってロックします。返却時はアプリでの操作は不要です。
予約した時間よりも早く返却する場合
予約した返却時間よりも
15分以上早く返却した場合、他の人が同じ車をレンタルし、残りの時間が無駄にならなければ、その分は全額返金となります。仮に誰もレンタルしなかった場合は、残りの時間の50%が返金されます。たとえば、5pm までの予定で4pmに返却した場合、1時間早いため、通常は50%の30分が返金対象となりますが、4pm から次の人が使用した場合は1時間分が返金されます。
予約時間の延長
他の人の予約が入っていない場合は、アプリ上から15分単位で延長が可能です。
返却時間を未定で予約(Open Return)
返却時間が未定の場合は、レンタル時に「
Open Return」を選択しておくと、最大24時間いつでも好きな時に返却することができ、使用した時間分のレンタル料のみ請求されます。ただし、代わりにOpen Return費として $3 かかります。
給油/充電
給油や充電が必要な場合は、車内に置いてある専用のクレジットカードを使うことができます。もし自分のクレジットカードを使用した場合は、カスタマーサービスにレシートを送ることで返金されます。
返却の際は最低でも 1/4以上の状態にしておくことがルールとなっています。
サービスエリア
バンクーバーをはじめ、バーナビー、リッチモンド、ノースバンクーバー、コキットラム、ポートムーディ、サレー、スコーミッシュ、ナナイモ、ビクトリア、ケロウナなど、広範囲のエリアでサービスを提供しており、指定された駐車スペースに特定の台数の車両が停車しています。ダウンタウンなどは比較的密集してありますが、郊外に行くほど減っていくため、会員になる前に最寄りの駐車スペースがどこなのかなど事前に確認しておくと良いでしょう。
車両のタイプ
車両サイズは、最も一般的な普通サイズの「
Daily Drives」、SUVやピックアップトラックなど大型サイズの「
Large & Loadables」、そして引っ越しなど大きな荷物の移動に使える特大サイズの「
Oversized」の3種類で、車両サイズによって料金は異なります。
Modo の料金
Modo の一般会員には、「
Modo Plus」と「
Modo Monthly」の2種類があり、それによって料金が変わってくる仕組みとなります。「Modo Plus」は、登録時に $500のデポジットが必要ですが、解約時には全額戻ってくる上、月額ゼロ、年額$1のみで、毎回のレンタル料が少し割安なので、長期的に利用する人には良いと思います。短期の利用を検討している人や$500を預けたくないという人は、「Modo Monthly」で良いでしょう。
| Modo Plus 会員 | Modo Monthly 会員 |
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入会金 | $500(解約時に返金) | 無料 |
会費 | $1/年 | $6/月 |
レンタル料(時間) | 普通サイズ:$5 大型サイズ:$7 特大サイズ:$10 | 普通サイズ:$6 大型サイズ:$8 特大サイズ:$11 |
レンタル料(日) Day Tripper | 普通サイズ:$100 大型サイズ:$135 (走行距離500㎞込み) | 普通サイズ:$100 大型サイズ:$135 (走行距離250㎞込み) |
利用料(毎回) | $1.50 | $1.50 |
走行距離単価 | 35¢/km |
夜間料金
6pm ~ 9am の間は利用者が少ないため、車両のレンタル費用は最大で3時間分のみとなります。たとえば、8pmにレンタルを開始して、日をまたいで3amに返却した場合、計7時間借りたことになりますが、レンタル料金は 3時間分のみとなります。Modo 料金計算
レンタル料金の単位(時 & 日)
レンタル料金には、1時間単位の料金に加え、日単位の料金(Day Tripper)が設定されていて、最終的に使用した時間数、走行距離に応じ、自動的に安い方の料金が適用されます。
走行距離
Modoは車両のレンタル費用に加え、走行距離に対して
35¢/kmが課金されます。たとえば、50㎞ 走行した場合、50㎞ x 35¢ = $17.5 が、車両のレンタル費に追加されます。日単位の料金(Day Tripper)には、Modo Plus 会員:500㎞、Modo Monthly 会員:250㎞ の走行距離が含まれているため、これを超えた分のみが 35¢/kmで計算されます。
ガソリン割増料金
ガソリンの販売価格が $2.10/L を超えた場合は、価格に合わせて下記が追加となります。
- $2.20/L:$0.01/km
- $2.30/L:$0.02/km
- $2.40/L:$0.03/km
良い点・悪い点
良い点
- 比較的新しい車が多い
- 車外、車内共に比較的きれいな車が多い
- 車種の選択肢が多い
悪い点
- 細かいルールが多く複雑
- 走行距離によって費用が大幅に変わる
- 開始~返却時間を事前に決めないとならない
Evo vs Modo まとめ
このように、Evo と Modo では、仕組みが大幅に異なるため単純にどちらの方が良い、悪いという比較はできません。
単純に金額だけで比較するなら、距離重視の場合は Evo、レンタル時間重視の場合は Modo の方が安くなります。たとえば、リッチモンドなど比較的近距離でありつつ、Evo のホームゾーン外の知り合いの家のパーティに行って数時間駐車しておくような場合、その駐車時間が長ければ長いほど Modoがお得に見えてきます。一方、ケロウナなど比較的長距離の場所に短期間で行くなど、弾丸ツアーになればなるほどEvoの方が安くなっていきます。
また、車の質や状態について、Evo は分単位で気軽に利用できる分、使用頻度が非常に高く雑に扱われていることも多く、Modoに比べて車内が汚れていることが多いように感じます。一方、Modo の方は往復ということもあり、中~長時間で利用されることが多く使用頻度が低いため平均的に状態は良い方だと思います。
その他、Evo の方は5人を超える人数に対応できる車種はなく、大型の荷物の移動には向いていないため、ある程度のスペースが必要な場合は Modo の少し大きめの車両を選択する必要があります。
このように、両社はそれぞれ特徴が異なるため、バンクーバーで長期的に、それなりに頻繁にカーシェアリングを利用することを検討している人は、Evo、Modo 両方の会員となっておき、用途に応じて使い分けるのがベストな利用方法となります。しかし Modoの場合、最初に $500 を預けて「Modo Plus 会員」にならない限り、毎月$6 が発生してしまうため、どちらか1つのみの会員になるなら Evo だけの会員になっておき、様子を見た上で Modo の利用を検討するのが良いのではないかと思います。
Modo は選択肢や細かいルールが多く、それらをしっかり事前に理解しておかないと、うまく使いこなせず、逆に想定外の費用が追加され、あとでビックリなんてことになりかねないため、Modoを使用する場合は、公式サイトの ヘルプページを一読し、しっかり理解してから利用を開始することをお勧めします。