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Shania Twain ”Why not”
2011/12/2 更新
カントリーミュージック関連の情報が著しく少ない日本ですが、
アルバムCome on Over収録の名バラード「You're Still The One」や、
Honda「エアウェイブ」のCMイメージソングに使われた「Up(Up収録)」などで
日本国内でもそこそこの知名度を誇るカナダ出身のQueen of pop-country、ShaniaTwain。
ここ数年は離婚と再婚に纏わるゴシップ情報と、
そのストレスによって「声を失くした」という部分ばかりが取り沙汰されることが多く、
一時は「もう二度と表舞台に出ないのではないか」と言われていましたが、
2011年から徐々に歌手としての活動を再開。
そしてこの度、その復帰に伴うドキュメンタリー「Shania Twain “Why not”」シリーズが
the Oprah Winfrey Networkにて再放送されました(初回放送は2011年6月)。
R&B勢、ロック勢が世界の音楽シーンを席巻していた90年代、
カナダはオンタリオ出身のShaniaは 1993年にカントリーシンガーとしデビュー。
直後に名プロデューサーRobert John "Mutt" Lange(AC/DC、DEF LEPPARDなど)と出会い、
間もなく結婚。二人でタッグを組んで制作したアルバムがカントリー界・音楽界を一変させ、
名実共に、そして着実に、大スターの道を驀進しました。
主なアルバムに1995年の「The Woman in Me」、
1997年に「Come on Over」、2002年の「Up!」があります。
ざっくりと申し上げれば彼女の功績、凄い所は、
古臭く 田舎っぽいカントリーミュージックをポップス枠に押し込んだ点。
カントリーと言えば 日本の演歌のようなものなのですが、
「カントリー?ジーパンにウエスタンハットかぶってバンジョー弾いてる田舎の音楽でしょ?」
という、それまでの“カントリー感”を大きく変えるのに一役買ったのが彼女なのです。
演歌界で言う所の氷川きよし……と言った所でしょうか(ちょっと違う)。
デビューアルバムはカントリー丸出しの曲調、
カントリーガールを前面に出したジャケットで大きなヒットは飛ばせなかったのですが、
プロデューサーに“ポップス寄りのロック界”で活躍してきたMutt Langeを迎えたことにより
曲調もスタイルも、全てのテイストが大きく変化。
フィドルやバンジョーなどを多様することによってカントリーテイストを残したまま
聞き易くノリの良い イマドキの味付けが施され、
上手くカントリーとポップスをブレンドさせるのに成功したのです
(「Up!」のボーナスディスクでは何を間違えたかHipHopを取り入れて大失敗していましたが。
…と、余計な一言)。
歌詞も日常会話っぽい、ガールズトークっぽい作りになっていることも大きな違いで、
例えば今までは…
「辛く貧しい生活で家賃も払えないけど それでも生きて行くわ…」とか、
「同じ田舎街で育ったカントリーボーイとカントリーガール。なんてお似合いな私達!」
なんていう“正統派のイモ”的な歌詞が多かった中、
例えば彼女は
「男物のシャツにミニスカ合わせて街に出ましょ!!女って最高!!」とか、
「嫉妬とか束縛とかまじありえないんですけど。愛してるって言ってるじゃない!!」
なんていう“ガールズトーク的”“日常会話的”“girl next door的”な歌詞を書き、
現代っ子の気持ちを鷲摑みにしました。
そして特筆すべきは彼女の美貌。
端整な目鼻立ちは勿論のこと、
スレンダーなボディを惜しみなく露出し、ウエスタンハットやジーンズを脱ぎ捨て、
それまでのカントリー界では見られなかったスタイリッシュな衣装を身につけて登場。
写真でもPVでもライブでも派手な趣向を凝らし、
男性陣の邪な視線も、女性陣の羨望の眼差しも隈なく集め、
流行りモノしか聞かないイマドキのティーンエイジャーから、
カントリーサイドでカントリーばかりを聞いている人々までを虜にしたのです。
北米ではラジオ局がジャンル別に分かれていることもあり、
どのラジオ局の電波に乗るがヒットの鍵となるのですが、
「The Woman in Me」以降はカントリー局でもポップス局でもOnAirされ、
どちらの関係者にも、どちらのファンにも、大きな衝撃を与えました。
「なんかこの娘、今までのカントリー歌手と全然違うぞ」と。
90年代の音楽界と言えば、
同じくカナダ出身のSarah McLachlanが"女神たちの競演"Lilith Fairを開催したり、
TLC、SherylCrow、AlanisMorrisette、MariahCarey、Celine Dion等が
各々の畑で世界的大ヒットを飛ばしたり、
ジャンルを問わず女性陣が圧倒的に強く、「Girl Power」という言葉が持て囃されていた時代。
Shaniaもそんな時流を作り、それに乗り、アルバムセールスは勿論のこと、
ツアーの興行収入でも数多の大スターを押しのけて断トツで一位となるなど、
破竹の勢いでスター街道を突っ走ったのを覚えています。
(ニューカントリー勢では“絶世の美女”FaithHillや、当時ティーンだったLeannRimesなども台頭していましたが。)
(↑こちら全員カナディアン。)
…ポップスに近いカントリーを歌っているアーティストたち、
例えばKellyClarkson、Taylor Swift、Lady Antebellumなどの“ニューカントリー”勢は
今やカントリー情報過疎地の日本ですら大人気ですが、
もしShaniaが90年代に登場していなかったら、彼らの道も変わっていたかもしれません。
つまりShaniaは[カントリー][女性][カナディアン]の地位の向上を図り、
音楽界を一新したと言っても、まあそれほど過言ではないのです。
さて、そんなスーパースターのShaniaTwianですが、
セールスを見ても美貌を見ても順風満帆かのように見えた2008年。
公私共に長年のパートナーであった"Mutt" Langeと突然離婚し、世間を驚かせました。
しかも"Mutt" LangeがShaniaの長年の親友と浮気をしたというから、
ゴシップ誌/番組、非ゴシップ誌/番組問わず
各メディアで大きく取上げられることとなってしまい、
これまで以上に世間の好奇の目に晒されることとなってしまったのです。
実はShaniaと"Mutt" Langeは17歳の“年の差婚”。
結婚当時は、まだまだこれからのShaniaが、
既に名プロデューサーとしての地位を築いていた"Mutt" Langeの名声を利用した…
といった類の言葉がゴシップ誌を賑わせました。
しかしその直後に二人で共作した「You're Still the One」をリリース。
♪They said, i bet they'll never make it
But just look at us holding on
Were still together still going strong♪
…と歌って自分達の愛を証明した、なんてこともありました。
この曲は未だにShania史上最も売れた曲で、代表曲の一つ。
99年のGrammy賞では4部門にノミネートされ、2部門を受賞しました。
離婚前はニューアルバムの制作を発表していたShaniaですが、制作は当然延期。
授賞式や音楽番組、オリンピックのトーチリレーなどで年に数回見かける程度で、
大きな動きは特に無く、関係者もファンも、
彼女のシーンへの復帰、精神面の回復を待ち望んでいました。
そんな中、2010年の4月に今回の番組「Why Not? with Shania Twain」の制作を発表。
2011年の5月に初放送されました。
全6シリーズあるのですが、
内容は・・・・
①"From This Moment On"
声と人生を取り戻す為に旅立つ。離婚を振り返る。
②"Battling Betrayal"
キャリアが始まったカナダの都市を訪れる。
名声との闘い、元夫とのロマンスと裏切りを振り返る。
③"What Happens in Vegas"
ラスベガスの Caesar's Palaceでのショウのオファーを受ける。
Gladys Knightに会い、自信と声を取り戻すアドバイスを貰う。
④"Fear Is Just a Four Letter Word"
New MexicoのTaosでセラピーを受ける。
⑤"Finding My Voice"
New Yorkでの撮影。
大御所David Fosterと新曲 "Today Is Your Day"の収録。
⑥"Endless Love"
旅を終える。Frédéric Thiébaudとの再婚。
Lionel Richieと"Endless Love"をデュエット。
Shaniaはこの中で、幼い頃の貧しい日々、22歳での両親の事故死、
スターダムを駆け上るプレッシャー、結婚と離婚と再婚など、
プライベートな部分を赤裸々に語り、
カメラの前でその辛さと向き合い、立ち上がってゆきます。
音楽的にな部分でも、
Caesar's Palaceでのショウに関してGladys Knightがどんなアドバイスをするのか。
“音の魔術師”David Fosterは彼女とどんな話をし、どのように味付けをするか。
"Mutt" Lange以外のプロデューサーとの仕事がどうなるのか。
久し振りのシングルはどんな仕上がりになるのか。
Lionel RichieとDianaRossが大ヒットさせた"Endless Love"のデュエットは
どんなカバーになるのか…などなど、見所が満載です。
因みにさらっと「Frédéric Thiébaudとの再婚」と書きましたが、
Frédéric Thiébaudというのは、"Mutt" Langeの浮気相手の元旦那。
つまり彼ら4人は、結婚相手を交換した形となります。
そんな部分も世間の好奇の目に晒されていましたが、
さてこのドキュメンタリーの中ではどう描かれるか、
Shaniaは幸せなのか、どうぞご自身の目でお確かめ下さい。
Shaniaは2011年3月にはCanadian Music Hall of Fameに登場。
同年5月にはバイオグラフィ「From This Moment On」を刊行し、
直後に「Why Not? with Shania Twain」を初放映。
6月には6年振りの新曲"Today Is Your Day"をリリース。
2012年の1月からはラスベガスのCaesar's Palaceで
ヘッドライナーを務めることが決まっています。
カントリー界が、音楽界が、世界中のファンが首を長くして待ち望んでいた彼女の復帰。
一時はもう二度と表舞台に出ないのではないかと思われていましたが、
Shania Twain、2012年遂に本格始動です。