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Lady Gaga-ArtRave: The Artpop Ball

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2014年8月9日(土)、Roger’s ArenaでLadyGaga4回目となるツアー「The ARTPOP Ball」が開催されました。これは2013年末に発売された新譜「ART POP」に伴うコンサートで、前回ツアーを滑膜炎の手術により休止しただけに、より一層気合いの入ったステージになるのではないかと見られていましたが、さて結果は。

①:逆風の中での振替公演。
前年度のThe Born This Way Ball は初日が即日完売したために追加公演が出たと記憶しておりますが(各都市のレビューも概ね好評だった)、今回は5月に予定していた公演を気管支炎でキャンセルしたため、その振替公演(北米ラスト)。
“Bornツアー”から“ARTツアー”までの間、ガガ様はお太りになられたり、“ロリコンエロ蛸坊主”との悪名高いRケリー様等とコラボして叩かれたり、SNSが炎上したり、病気になったりと なかなかの試練が巻き起こっておりましたが、それらが影響してのことなのか、売上枚数もチケットの売れ行きもどうも芳しくない様子。同時代のポップディーバ達(QueenBやKatyやRhiana等)と比べると人気に翳りが見られる昨今です。蓋を空けてみると…やはり空席が目立ちました。特にアリーナ席、恐らくフロアが疎らになるのを避けるために中央部分に柵を設けて"リトルモンスター"達を前方に鮨詰めにしたのでしょうが、お陰でPA席周辺が見事にがらんどう。人がいないフロア程寂しいものはありません。夏のバンクーバーは各種イベントが非常に多く、特にこの日はSquamish Valley Music Festivalの初日だったことも一因かと思われますが(最大限の擁護)、ステージにおいての客入りは演者のモチベーションは勿論のこと、客側のモチベーションにも関わります。振替でなければ、Roger’sでなければ…という「たられば」が頭に浮かびます。しかしそうは言っても会場にはガガを模したコスプレや、思い思いのお洒落を楽しむリトルモンスター達の熱気で溢れており、視覚的には非常に楽しい会場でした。


②:オープニングアクトは俯瞰で選ぶが吉。
この日のオープニングアクトは前回/他公演/他都市と同じくLady Starlight。

彼女はガガの友人でありファッション面等で影響を与えた人物であるとされていますが、だからといってこれまでにも散々酷評を浴びているにも関わらず前座に起用し続けるのは何故なのか、何か裏でもあるのか、壮大な秘密でも握られているのかと勘ぐりたくなる程に、ガガの前座には向いていないアーティスト/音楽性であると言えます。音楽評において好き嫌いの話をするのもナンセンスなお話ですが、まるで暗い地下室に閉じ込められて無理矢理自己満プレイを聞かされているような気持ちとなりました。そして現地レビューを見ると会場の大半が同じ気分を抱えていたようです(実際席を立つ人々も続出していたのですが、いつガガが登場するのかが分からないが為に席を離れられない人々も多かった)。
そもそも前座というのは若手の宣伝、そしてステージを暖める意味合いがありますので、心優しいカナダの観客はどれほどつまらなくとも声援を送ったり拍手してあげたりするものですが、それも全く無く。ではブーイングが起こったかと言えば、そういうわけでもなく。ただただ無言で疲弊していたというのが実際の所でした。これは観客はもちろんのこと、ガガにも彼女にも有益なこととは思えません(勿論狙い通りか否か、ガガの友人というだけでブログ上で絶賛しているファンもちらほら見かけます)。

ちなみに他都市では初音ミク(日本)、ベビーメタル(日本)、クレヨンポップ(韓国)が登場した回もあるのですが、Lady Starlightと同じく概ね酷評されています。まとめると「彼らのステージが終わるまで会場内を彷徨う人々で溢れていた」「開場後2時間は箱に入るな」とのことで、今更ながら同意します。これから東京公演に向かわれる方、前座にご興味無い方はご注意下さい。


③:待ち時間のBGMは本気出すが吉。
更に彼女のプレイの後に待ち受けていたのは1時間半もの待ち時間。他都市では上記のオープニングアクトを聞かされていたようですが、バンクーバーではひたすら待たされました。恐らく機材の故障だとか衣装のお直しだとかガガ様の体調だとか、何かしら理由があったのかとは思います(精一杯の不確か且つ恐らく勘違いの擁護←何故なら他都市もオープニング時間はそう大差が無い)。しかし踊れないダンスミュージックが2度目のループを始めた頃には会場中が飽き飽きしておりました。あれだけ待たされれば話も尽きるし、五月蝿いから喋れないし、つまらないから踊れないし、トイレにも行きたくなるし、でもいつ始まるか分からないから席を立つタイミングを失うし……最も可愛そうだったのはティーンの保護者です。折角娘をお洒落させて連れて来たのにダレることダレること。「2時間も無駄にしたんだから、超ド級のステージでも見せてくれなきゃたまんねーな」という苛々から生まれる期待が膨らみ、爆発寸前。90年代にマイケルやマドンナやあいつやこいつが彼らのワガママで数時間の遅刻をした時はその後繰り広げられたスペクタクルでワンダフルなステージによって待たされた事など吹き飛んだものですが、さて、新世代のポップスター、ガガ様は・・・?
所でロックスターやポップスターのコンサートでは会場BGMにも凝る場合が多いのですが、ガガ様はBGMは軽視しているような気がします。前座よりはマシでしたし、もしかしたら“時代の先取り””ファンへの啓蒙”という意味合いもあるのかもしれませんが、狙いはどうあれ、会場がどんよりするBGMは頂けません。

④待ちに待ったオープニングから見て取れる現状。
そんなフラストレーションが溜まり切った中で始まった今回のステージ。表題曲"ARTPOP"から始まり新譜から7曲という構成だったのですが…作り込んだステージなのでどの都市でもセットリストは大差ない筈ですが、インパクトが薄かったのは否めません。
まず登場。歴代数々のポップスターが歴史に残る趣向を凝らしたオープニングをキメていますし、これまでのツアーでも好評を博しているのですから、奇抜が売りのガガ様登場の瞬間に期待が高まるのは当然のこと。しかし延々と続いたBGMの終了〜暗転〜開幕のメリハリがなく(これはインタールードにも言える)、オープニングの映像にも特筆すべき点が特に無く、更に登場は“ジャケ写の格好をしたガガ様が蜘蛛の足を背負ってセリから上がって来る”という古典的なもの。これまでも手法としてはマイケルやマドンナやボウイや数々のスターが既に使い尽くしたものとは言えましたが、それでもどこかに「流石ガガ!」という気分にさせる何かがありました。しかし今回は凝ったセットではありますが、そこには奇抜さや目新しさがなく、アリーナの熱狂的モンスター以外は置いてけぼり。やたらと「Vancouver!!」「Put your hands up!!」などと叫んでいたのが印象的です。

https://www.youtube.com/watch?v=lm4LuX9oK5w
(これのがよっぽど面白い。セリーヌやらテイラーだって花道歩く位してますし。)

そして曲の並びですが、これもポップスターとしては若干失敗ではないかと思われます。極端に言えば、世界的にヒットした曲をもう少し前半に持って来ても良かった。前回や前々回のツアーは前半にもヒット曲、シングルカットされた曲、耳慣れた曲、知らなくてもノリ易い曲(更には魅力ある舞台構成)が目白押しだったため、大ファンでも俄ファンでも冷やかしでも楽しめるステージだったと記憶していますが、今回はシングルとして世界的に大ヒットした曲がゼロ。そして新譜のクオリティの話にも繋がってしまいますが、予習していない限り一発でステージ映えする類の曲も少ない(曲が悪いというわけではない)。結果としてアリーナ以外は「ノリたい、でもノレない!」という苦渋の空気が漂っていました。

そもそも彼女は奇抜で目新しく面白いファッションやPV、若者に響くメッセージ、可愛さや格好良さで世界中の若者のアイコンとなりましたが、歌やダンスが突出しているからこその人気ではないというのは本人とチームが最も良く分かっている筈。つまり「ポップスター」であるからこそ、会場に集まるのは熱狂的なファンのみならず「ミーハー」「俄ファン」「冷やかし」も多くなるのは分かり切っているのです。更に彼女の主なファン層はLGBTの方々と10〜20代の若者であり、若者は必ず保護者同伴です。つまり会場の3~4割程は「年若い娘・息子の同伴で来ているだけの親御さん」なわけです。前半にもっと分りやすい曲を配置して彼らすらも取り込んでしまえば、やけに叫ばずとも自然と盛り上がります。
新譜に伴うツアーなので、当然新譜からの曲を多くやりたい、頭で出して世界観を固めたいというのは至極当然のことなのですが、昨今の状況を考えると特に“熱狂的なファン”=“アルバム全曲を聞き込んでいるファン”のみをターゲットとしたステージ構成では、盛り上がるものも盛り上がりません。ポップスターたる者、「自意識」や「アート性」や「ファンの要求」と、俄ファンや冷やかしや批評家への「実力誇示」とのバランスをとってナンボなのです。こちらは完膚無きまでに打ちのめされ、平伏す用意はできているのです。客入りが悪く只でさえテンションが下がっている所で、鬱屈した気持ちにさせる前座を聞かされ、更に長時間待たされて苛々した所で、開幕したかと思えばアルバムからの耳慣れない/コンサート向きではない曲の連続……ミーハー/保護者達はこの時点でダレまくっていたと断言できます。状況も悪かったのですが、構成も悪かった。つまり上記の理由で爆発寸前だった期待は未消化のまま、燻り続けてしまったのです(状況のせいにしている分、我ながら愛があると思います)。

⑤ハイライトは中間地点。
ショウ半ばになり漸く、嘗て世界中の誰もが耳タコとなったヒット曲の数々をぶっ放していました。ここでやっとスタンド席〜3階席も沸き立ちます。しかしここでも構成の甘さが目についてしまう。この辺りは都市によって多少の前後やアレンジの違いがあるようですが、バンクーバー公演では皆が望んでいた大ヒット曲を何故か蔑ろにする案件が発生。"Judas"や"The Edge of Glory"が一瞬で終わり、スタンド席からはブーイングとは言わずまでも、間欠泉のような苦笑が起こっていました(如何に“俄”が多いかが分かる現象)。
中でもピアノでスローにアレンジした"Born This Way"は賛否両論。彼女はピアノでの弾き語りにも定評があり、この時のプレイも全く悪く無いものだったのですが……あの時の開場の空気は「パーティチューンはパーティチューンとしてやってくれ」「もっと発散させてくれ」というものだった気がします。ガガ様であればピアノで聞かせられる曲は他にもありますし、皆がピアノで聞きたかったのはこの曲ではなかったかもしれません。アゲアゲソングの無駄遣い。(セットリストにはサビだけ歌って終わった曲も含まれます)。


⑥終焉の足音に慌てて楽しむ会場。
ショウ中盤〜後半にかけてはカツラ外しや舞台上お着替えや日本のアニメにインスパイアされた衣装など、見所満点。これまで散々批判的なことを書き連ねたので褒め倒しますが、何をおいても可愛かった。批判されているむちむちセルライトのお尻すらも愛らしく、益々イタリアンに溺れて“むちむち可愛い”を“現代の美”として体現して頂きたいと思いました。またこれは今に始まったことではありませんが、ファンとの距離感が心地よい。彼女の真面目な性格は日本でも知れ渡る所ですが、ファン1人1人を大切にしているのがよく伝わります。それが例えフェイクであったとしても、そう思わせるに充分は振る舞いをしている。バンクーバーのショウでは投げ込まれた服やアクセを次々と身に纏ったり、ステージに投げ込まれた手紙を読みあげたりしていましたが(お決まりではあるのですが)、こういった所が根強い人気に繋がっていると思われます。そして本当に「ガガのお陰で己が何者かに気付いた方、救われた方(特にLGBTの若者)」が多いのだろうなと。心も身体も不安定な若者にとっての現代の精神的支柱は、断トツで彼女なのかもしれません(LGBTの方々が自由に暮らすこの街でもマドンナ様は絶大な人気ですが、若者世代にはやはりガガかも)。


⑦思った以上に短い1時間半のステージ、アンコールも新譜から。
歌やダンスが神がかっているわけではないからこそ先端のファッションやPVで話題を振りまき特大ポップスターへと上り詰めたガガ様。しかし今回のステージは嘗てのショウ(傑作The Monster BallやBorn This Way Ball)を凌駕するものでは全くありませんでした。曲、構成、セット、振り付け、衣装、盛り上げ方に何かが色々と欠けていて中途半端な印象。会場にいる全ての人を一瞬も飽きさせないステージングとは言い難く、ハリボテ感が浮き彫りになっていました。それは前述の通り新譜のクオリティ(良し悪しではなく)の問題にも繋がるのですが、そんなことは置いておいても、ショウとしてはもっと見せられるだけの実力とヒット曲があるはず。全体的には非常に可愛らしく好感度が高いのですが、もっと派手で、もっと奇抜で、もっとアートで、もっとガガ様で良かった。盛り上がりにかけるからといってFワードを使って煽り倒すのではなく、地名をがなり立て連呼するのではなく、もっと“欲しがりな客”の見たいものに応えても良かった。そしてアンコールにGypsyだけというのも少々がっかり。勿論ストーリーを考えればGypsyで終わらせるのは予習せずとも想定の範囲内ですし良曲なのですが、「まさかそれだけ…?」と誰もが思ったからこその終焉後のどよめきでしょう(アンコール後も”欲しがる客”が騒ぐからこその”Elvis has left the building”であり、昨今は早々に明転する会場が多いものですが、明転後の皆様のあのポカン顔!!)。


【セットリスト】
Video Intro
1. ARTPOP
2. G.U.Y.
3. Donatella
Fashion! Intro
4. Fashion!
Venus Intro
5. Venus
6. MANiCURE
7. Cake Like Lady Gaga
Just Dance Intro
8. Just Dance
9. Poker Face
10. Telephone (Lady Gaga feat. Beyoncé cover)
Partynauseous Intro
11. Partynauseous
12. Paparazzi
13. Do What U Want
14. Born This Way (piano version)
Jewels N’ Drugs Interude
15. Jewels N’ Drugs (with T.I.)
16. Aura
17. Sexxx Dreams
18. Mary Jane Holland
19. Alejandro
Ratchet
20. Bad Romance
21. Applause
22. Swine
Encore:
23. Gypsy

昨今は色々な数字をとってみても明らかに人気に翳りは出ていますが、ポップスターの先達とて、特大ヒットと失墜と復活と更なるヒットとを繰り返してきました。ガガ様におけましては、今後益々面白いステージ、素晴らしい活躍を見せてくれる事を期待しています(誰にも文句言わせない大御所且つ昨今のコラボブームを作った一人であるトニー・ベネットとのコラボがどう響くか、面白い所です)。


P.S. アジア公演をお楽しみになる方はくれぐれも入り時間にご注意を!!(個人的に、ステージは前座を含めて全て見るというモットーでウン十年間やって参りましたが、酷い前座と長時間の待ちは優しい気持ちを無くさせます。)


記事ID. 456

by MP

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2014/08/13 00:00:00 JST

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